ヒップホップ好きがビジネス・フォー・パンクスを読んだ感想

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"BUSINESS FOR PUNKS ルールを破り熱狂を生むマーケティング" を読んだ。
仕事柄か、個人的な趣味か分からないが、マーケティングと名の付く本は興味を惹かれてしまう。そして解説に楠木 建さんということですぐレジに持っていってしまった次第だ。

どんな本か?

2007年に300万円で始めたクラフトビールの会社が、
8年足らずで売上70億円を超える急成長を遂げる。
熱狂的なファンを世界中でどうやって獲得したのか?
ブリュードッグの奇跡のマーケティングを創業者本人が語る!

本の袖に書いている言葉から。
奇跡のマーケティングと書いているがちゃんと内容を見ていくと、いたってまじめな内容。(表現方法は過激だが…)

 

大枠はこんな流れだ。

  1. とにかく自分を信じて良い商品をつくり
  2. 財務に関してはマスターヨーダの域まで極め
  3. 低予算でも頭と体を最大限使ってマーケティング活動を行ない
  4. 顧客ではなく熱狂的ファンをつくり
  5. 仲間を大切にする

著者のジェームズ・ワット氏の言葉はどれも力強く持論を言い切っており、
読んでいて、惹き付けられるものだったので各章ごとに一部紹介させてもらう。

 

1章 戦う自由人のための起業論

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必要なのは信じることと、全力を尽くすことだ。近道などない。魔法の公式もない。
どんなサクセスストーリーも10年がかりで生まれるもので、「一夜にして大成功!」などという話はあり得ない。何かを成し遂げたければ、幻想にとらわれず、とにかく全力を尽くすしかない。大事なのは、何年かかろうとも信念を曲げず、自分を甘やかさず、集中を続けることだ。簡単に手に入るものなど存在しないのだから。

 

2章 未来を見る反逆者のための財務論

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一番大事なのは利益じゃない。利益はナンバー2ですらない。もう一つ、キャッシュという言葉は利益を意味しない。それがわかったら、本題に入ろう。キャッシュこそ絶対王者だ。利益はただの手段であって、目的ではない。しかし、キャッシュはわけが違う。キャッシュは酸素であり、血液だ。人生に絶対のことなどほとんどない。しかし例外もある。それは、1キャッシュと、 2 キャッシュの管理に全身全霊をかけることなしに、ビジネスの成功はあり得ず、大半の会社と同じように潰れるしかないということだ。

 

3章 迷える子羊のためのマーケティング

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相手構わず放り投げられた浅はかで退屈な広告をありがたる人間はいない。古いメディアにいつまでも頼っているブランドと同じで、こうした広告宣伝文句には中身がない。今の消費者は、自分にとって意味のあるものから刺激を受け、関わり合いたいと思っている。価値を感じられるものを求めているのだ。そうした消費者の欲求を満たすのに金がかからないのだから、こんなに素晴らしいことはない。

 

4章 新時代の破滅的パンクのためのセールス論

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販売活動については、3つだけシンプルなルールを知っておけばいい。

1  商品に集中する
2  隠さず誠実に
3  価格競争はしない

 

5章 野望に燃える海賊船長のためのチームビルディング

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どんなものであれ、最高に魅力的なビジョンを一つだけ掲げよう。針を振り切るほど心が震える、完ぺきに魅力なビジョンが必要だ。興奮で鳥肌が立つレベルでなければ、構想を練り直したほうがいい。チームに命がけの覚悟を持たせる必要がある。心を満たし、魂を震わせるのだ。

 

6章 ひたむきな自由人のための時空論

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成功にたどり着くまでのジェットコースターのような旅では、カオスは友達だ。常に自分の隣にいる。隣に見当たらなければ、心配したほうがいい。適度な無秩序や内輪の揉め事が起こらないのは全力を尽くしていない証拠だ。もっと頑張らないといけない。混乱も騒乱も、いかれた旅の相棒になる。

 

7章 パンク起業家の頭の中

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本書でぼくは、人のアドバイスは聞くなと言った。それは、ここに書いたことすべてに無条件で当てはまる。だから、あなたがもし本当に賢明な人なら、本書全体を無視すべきだろう。参考するも、しないも、好きにしてもらっていい。ただし、何か行動は起こしてほしい。それから、とにかく楽しむことを絶対に忘れてはいけない。

 

ヒップホップ好きが読んだ感想

この本で書かれているパンクとは音楽のジャンルではなく、生き方や考え方のコンセプトのようなものだ。
そして、この本はマーケティングの本ではなく、彼の哲学と行動の結果をまとめた内容になっている。つまり、マーケターだけが読むものでは勿論なくて、自分でビジネスをしている人や音楽活動をしている人にも読んでもらいたい。

これは遠く、イギリスにいる凄腕起業家のサクセスストーリーではなく、自分の理想や使命を見いだし、とてつもない行動をしながら事業の発展を考えつづけた先輩のアドバイスのようなものだと感じた。